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2011年3月22日 (火)

Alchemy : Dire Straits Live

E725828for2ギターヒーロー、マーク・ノップラーが率いるグループ、ダイアー・ストレイツの1984年の渾身のライヴアルバム。

'49年スコットランド生まれのマーク・ノップラー。'78年に彼がグループ名を冠したデビューアルバムを発表した時は、ちょっとした驚きでした。世界にはまだこんな隠れた才能がいることと、ファーストアルバムでここまで完成されたサウンドを作り上げる底力の両方に驚嘆。デビューシングルの「悲しみのサルタン」でのリードギターを弾きながら、リードヴォーカルを取るというスタイルにも驚かされました。ヴォーカルのスタイルはボブ・ディランの雰囲気を漂わせ、ギタープレーはストラトをピックでなく指で弾いて、ちょっとアタック感の強い独特のトーンで、まるで歌っているように演奏されます。このレベルの高さが半端ではなくカッコいい。案の定その後、グループでの活動だけではなく、ギタリスト、プロデューサーとしても大活躍します。音楽活動を続けてゆく中で、徐々に活動のレンジを広げてゆく人は多いですが、マーク・ノップラーの場合、デビューした時点ですでに様々な活動を出来るだけの実力を備えており、いきなり完成されたアーティストとしてシーンに登場します。そこら辺りが彼の一番すごいところだと思います。

デビューアルバムの後、さらにレベルの高いアルバムを3枚発表して、それまでの活動に一区切りをつけるようにこのライヴアルバムを発表。翌年の「ブラザーズ・イン・アームズ」とシングルヒットの「マネー・フォー・ナッシング」で一気にチャートを駆け上り、押しも押されぬスーパーグループに上り詰めます。これは当時MTV等で、ミュージックビデオが盛んにオンエアされていたので、耳にしたことがある人も多いのではないかと思います。

1, Once Upon a Time in the West
いきなり13分を越える長尺の演奏。リズムはさりげなくレゲエだったりします。ほとんど彼のギターと歌の独演会ですが、これこそダイアー・ストレイツです。特に抑揚をあえて抑えたようなヴォーカルスタイルが私は大好きです。バックの人数も少なく、ドラムとベースのリズム隊にキーボード、リズムギターの4名。以前自身の弟もメンバーの一人でしたが、実力が伴わないと見るやあっさりクビにしています。芸術の追求に、血縁などは邪魔なものという冷徹な考え方もまた、天才の天才たる由縁でしょうか。2枚目のアルバム「コミュニケ」のオープニングナンバー。オリジナルは5分半ほどの長さの曲です。

2, Expresso Love
観客の手拍子も聞こえるノリのいいナンバー。ピアノのリズムの跳ね具合が心地よく、リズムギターもしっかり演奏を支えています。なかなか起伏に富んだメロディーを持った曲ですが、サビに移る際や、フレーズの端々を、盛り上げようと上げ気味に歌うのではなく、わざと脱力したように下げて歌う独特の歌唱がいいですよね。下手をするとやる気がないように聞こえるんですが、そこは紙一重。いい味と取れる歌い方です。3枚目の傑作アルバム「メイキング・ムーヴィーズ」からのチョイスで、アルバム収録の7曲中4曲がここで演奏されています。

3, Romeo and Juliet
ギターをナイロン弦のアコギに持ち替えての演奏。エレキもフィンガー・ピッキングで演奏していますから特に違和感はないですよね。ただフレーズはアルペジオを巧みに織り交ぜたフレーズを演奏しており、さすがはマーク・ノップラーというセンスを感じます。この淡々とした演奏で、8分の長さですが、それほど退屈しないのが何とも不思議です。ラストの部分のギターとピアノの掛け合い等聞きどころは満載です。前曲に続き「メイキング・ムーヴィーズ」からの作品。

4, Love Over Gold
前曲から切れ目なしに演奏されるこの曲は、このライヴの前作のスタジオ盤のタイトルソング。このアルバムからは5曲中3曲が収録されています。それにしてもLP時代とはいえ5曲は少ないように思いますが、演奏時間は40分を少し越えています。で、この曲ですが、スタジオでは6分越えのナンバーですが、ここでは同じくナイロン弦のアコギで、3分半に短縮されています。ラストのギターソロがやはりいい味を出しています。

5, Private Investigations
「ラヴ・オーヴァー・ゴールド」からの作品で、マークは相変わらずナイロン弦のアコギを演奏。スローなナンバーですが、ギターはイントロから冴えまくっています。ピアノとシンセのバックに対し、歌とギターで対抗し、歌の合間はギター埋めるというマークのスタイルが見事に決まったナンバーです。4分過ぎにタイトルの「Private Investigations」と歌った後の3分以上はギター2本とキーボードによるイントゥルメンタルパート。バンドとしての一体感を感じるナンバーです。ライヴでの前半の山場となっていて、次の傑作ナンバーにつながってゆきます。

6, Sultans of Swing
ダイアー・ストレイツの名前を一躍全世界に知らしめたヒットナンバー。久々にエレキギターに持ち替えての演奏ですが、歌の合間にオブリガードのように演奏する弾力のあるギターの音が最高ですね。間奏のギターソロ、歌終了後のギターソロの少しハード目のプレーも、ブレーク後のワンコードでのアルペジオ奏も、思わず「マーク・ノップラーすごい!」と叫びたくなるようなプレーの連続で、ラストにかけてどんどんアップテンポしてゆくところなどはまさに鳥肌ものの演奏です。一聴して彼とわかるクリアな音色と指弾きならではのアタックの強いトーンもいいですよね。スタジオ盤は5分半を越える長さですが、ここではそのほぼ倍の時間を使って、壮大なスケールの演奏を聞かせてくれます。たぶんこのライヴの最大のハイライトとなっています。この曲の邦題は「悲しみのサルタン」。マイナー調の何となくもの悲しいメロディーからの命名でしょうが、実際は「サルタン」という名前のスウィングバンドのことをタイトルにしたようです。このアルバムの後に発表された「ブラザーズ・イン・アームズ」からの大ヒット「マネー・フォー・ナッシング」と並ぶ彼らの代表曲ですが、私はこちらの曲の方が断然気に入っています。
このライヴ盤ですが、CD2枚組になっており、1枚目はここまで。片面50分ほどあり、1枚にまとめるのは無理なようです、それならもう少し曲を水増ししてくれてもいいような気がしますがどうでしょうか?ちなみに'93年に発表された後期のライヴ盤はCD1枚でした。

7, Two Young Lovers Intro: The Carousel Waltz
サックス奏者のメル・コリンズが参加して、ノリノリの曲を一曲。メル・コリンズというとキング・クリムゾンの初期のメンバーで、「ポセイドンのめざめ」から始まり、「リザード」「アイランド」「アースバウンド」あたりまで在籍していました。やはり同じブリティッシュつながりなんでしょうか、演奏していて特に違和感がありません。この曲はこのアルバムで初めて発表されたナンバーで、5分弱のコンパクトなナンバーです。

8, Tunnel of Love
サックスのメル・コリンズが残って、前曲の延長のようなサックスソロを3分弱演奏。その後ピアノとギターの掛け合いになります。ここでアニマルズの「悲しき願い」のフレーズが出てくるのはちょっとご愛嬌。4分になろうかというあたりで曲紹介があり、キーボードソロからリズム隊が入って、全員での演奏に移行してゆきます。アルバム「メイキング・ムーヴィーズ」でもハイライト的な、完成度の高いナンバーでしたが、ここでも充実した演奏を聞かせてくれます。サビのところの「And the big wheel keep on turning」のところや「On the tunnel of love」のフレーズは、普通でしたら力んで、上げ気味で歌うところですが、相変わらず抑えたように下げ気味に歌う歌唱がすごくさまになっています。(たぶん、すきずきなんでしょうが、、)ラストはやはりお決まりのギターソロが炸裂します。やはり指弾き独特のフレーズが心地いいですね。普通のグループでしたらこれで十分な締めになりますが、もう一曲大曲が続きます。

9, Telegraph Road
「ラヴ・オーバー・ゴールド」のオープニングナンバーで、14分を越える長尺なナンバー。ここでは13分半とほぼスタジオと同じ尺で演奏されています。たぶんこの時点で、自分たちの最高のナンバーであるという自負を感じる演奏で、非常に劇的な展開を見せてくれます。ワンフレーズ終了後ブレイクを挟み、テンポを変えて、ギターソロを聞かせ、ピアノの演奏で元のリズムに戻り、歌に戻ってゆきます。ブリッジを挟んで歌を2フレーズ歌いきり、ラストのギターソロに突入します。ソリッドなギターソロで大いに盛り上がったところで、曲は終了。それに合わせたように花火が打ちあがる音がして、観客の歓声が一段と大きくなったところで「サンキュー」と叫び、アンコールの拍手が沸き起こります。それにしても後半の盛り上がりはすごいですね。ライヴバンドとしての彼らの実力をひしひしと感じる内容になっています。'78年のデビュー作から6年目ですが、実力派の大物の風格が漂っています。

10, Solid Rock
「メイキング・ムーヴィーズ」からの曲で、タイトル通りソリッドなロックンロールナンバー。サックスのメル・コリンズも再登場し、最後の最後にふさわしいノリノリの演奏を聞かせてくれます。コンサートを楽しく締めくくろうという気持ちがいいですね。

11, Going Home: Theme of the Local Hero
最後は、何とも淡々としたインストナンバー。'83年にマーク・ノップラーが担当した映画のサントラ盤からのナンバー。コンサートも終わりなので、家に帰りましょうという曲です。

このアルバムで初期の活動を締めくくり、翌年発表の次作「ブラザーズ・イン・アームズ」からの「マネー・フォー・ナッシング」大ヒットでスタジアムバンドにのし上がってゆきます。そのアルバムのヒットやツアーで稼げるだけ稼いだのかその後の作品まで、6年の間隔が開いてしまいます。基本的なスタイルは変わらないものの、グループとしての活動は完全に末期的な状態になり、'93年のライヴ盤を最後に解散。マークはソロアーティストになっています。ただソロではそれほど目立ったアルバムは発表しておらず、プロデューサーやギタリストとして様々な活躍をしていますが、アーティストとしての成功は手に入れていないように思います。以前紹介したサニー・ランドレスのアルバムでの印象的なデュエット等、彼とはなかなかいいセッションをやっています。2人でアルバム1枚作るとかやってくれると、私は大歓迎します。

Dire Straits Are

Mark Knopfler
Alan Clark
Hal Lindes
John Illsley
Terry Williams

Song List

1, Once Upon a Time in the West                        Mark Knopfler
2, Expresso Love                                            Mark Knopfler
3, Romeo and Juliet                                         Mark Knopfler
4, Love Over Gold                                           Mark Knopfler
5, Private Investigations                                    Mark Knopfler
6, Sultans of Swing                                          Mark Knopfler
7, Two Young Lovers Intro: The Carousel Waltz        Mark Knopfler
8, Tunnel of Love                                            Mark Knopfler
9, Telegraph Road                                            Mark Knopfler
10, Solid Rock                                                 Mark Knopfler
11, Going Home: Theme of the Local Hero              Mark Knopfler

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